回顧録2~少女が次に奏でるその唄は~

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 二人に会うにはこのゲームをクリアしなきゃならない。わかってるけど、それと同じだけ一人でクリアしなきゃいけないとも思うのだ。  ……でも、その意思がすでに折れかかっているのもまた事実で。  だから、思う。  一度決めた事を曲げるのは嫌だけど、やっぱり私一人じゃすぐに折れちゃうから。  (精一杯がんばって調べて、知恵熱が出るくらい推理して、それでも心が折れちゃいそうだったら、この携帯を使おう)  ただし、謎の真相を訊くんじゃなく、  心を……絶対に勝つぞという意志を保つために、電話をかけよう。  同時にもう気持ちを曲げないと決意する。  「……よしっ」  また元気が出てきた。  顔を上げて前を見る事ができた。  再び目の前に広がる、謎多き廊下。  相変わらずわけのわからない謎の結晶に、私はうんざりしてしまう。  でも、俯きはしない。  目の前のものが謎である以上、そこには確かに綻びがある。  つまりヒントは、必ずどこかにあるという事だ。  それだけわかれば、がんばれる。  真相という名の光は見えないけど、希望という光は私を照らしてくれているから。
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