始まり

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始まり

《花吹雪家、》 昔から、この家族に生まれた女は神社の巫女になる、そう決まっていた。 私は妹と姉妹で生まれた。 でも、何故かお父さんは私にだけ、 「お前は選ばれた巫女なんだ」 そう言い聞かせた。 でも、巫女になるのはごめんだ。 そりゃあね?昔は神様を信じてたよ? 妹には「神様なんて居るわけ無いじゃん」って馬鹿にされてた、 それでも私は信じてやまなかった。 ―いつからだろう、神様を信じなくなったのは、 あぁ…、そっか、お母さんが死んでからだ。 私が10歳の頃、お母さんは巫女の仕事中、病気で倒れた。 私は神様を信じてお母さんの病気が治るよう毎日お祈りした。 神様は、きっと助けてくれるんだって信じ続けた。 でもお母さんは息を引き取った。 家族が皆して大泣きしてる中、 私は涙を一粒も流さなかった。 お母さんがもう居ない事、神様何か居なかった事、 何もかも受け入れる事が出来なかった。 10歳の心に大きな穴があいた。 その後私は中学二年の頃、 家出をした。 神様なんて居ないのに、 毎朝神様にお水をだしたり、お供えしたり、お祈りしたり、馬鹿馬鹿しかった。 お母さんを返してくれるわけじゃないのに。 私は行くところが無いから、良く遊びに来てくれた望善 雪路(モチゼンユキジ)さん家に住ませてもらっていた。 欠席し続けた中学も卒業し、 高校には行ったものの、 勉強は出来る、だけど馴染めずすぐに保健室に逃げるしまつ。 先生もクラスの人たちも、 私の事を気にしてない、空気としか思っていない、 そしてとうとう一年生最後の1ヶ月、引きこもりになった。 このまま引きこもりも良いかな。 そう思っていたのに何故か私は雪路さんに『私違う高校に行きたい』と言っていた。 自分が何を言っているのか戸惑った。 でも雪路さんは「じゃあ別の高校に行こっか♪」何の疑いもせずに私を別の高校に転校する手続きをした。
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