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ドガアァァンッ。
………静かなはず、だった。
「弱すぎ、おいヤイバ。手ェ抜いてないか?」
「馬鹿者
曦火相手に手加減したら粉々になるわ」
曦火という赤毛の元気な青年と、ヤイバと呼ばれた黒髪の少年が組み手をしていた。
多分組み手だろうと信じたい、それだけ二人の戦いは尋常ではなかった。
影が交差する度に周りの木が倒れ、岩が砕け、騒音が迷惑なことこの上なしだ。
それだけこの二者の戦いが激化している証拠である。
「ふっ、次の一撃で息の根を止めてやるよ」
「冗談は顔だけにしろ」
曦火は今にも襲い掛からんと前かがみ、ヤイバはその攻撃を見極めようと姿勢を構える。
両者安易には動かず、沈黙のみの緊張の一瞬………
先に動いたのは、
バッシャアァン。
「………ヘックシ」
「ほえ?」
くしゃみをしたのはヤイバ、思わず間抜けな声を上げたのは曦火だった。
「二人とも何やってんのよ?」
木々の間を飛ぶのような怒る口調が耳に入る。
「水魅、何しやがる?」
「あんたたち少しは周りの迷惑も考えなさいよ。」
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