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「そこまでかしこまらんでもよい」
頭を下げた二人に優しく話し掛ける。
「だよな~」
「あっ、こら」
すぐにパッと立ち上がった曦火を三度水魅が噛み付く。
すぐにオーバーヒートしそうだったが、先程の声の主が、オホンと軽く咳をした。
途端に二人は静まり返り、ようやく辺りは静けさを取り戻した。
「では皆席につきなさい」
言葉通り、六つの人影は石で出来た長机の前に腰を下ろす。
座り方は、石の椅子にきちんと着席する者、恐れ多いとばかりに座ろうとしない者、そして直接机の上で胡坐をかく者に別れた。
「曦火、ちゃんと座りなさいよ」
「うっせぇな、どう座ろうが勝手だろ」
後者の座り方をしているのは無論曦火である。
「やれやれ。ヤイバは今回も座らないのか」
「僕にはここにいる資格すらありません」
座らないで立っているのは必ずヤイバ。
残りの皆はこれといった特徴もなく座っている。
「まぁ、そう言わないで座らぬか? 今日はヤイバに用があるのだ」
「………分かりました」
とは言ってもすぐには座らず、何かを警戒すること数十秒、ようやくヤイバが席についた。
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