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「ようやく皆座ったな」
大きな安堵のため息とともに、よいしょっ、とという体を動かす音が聞こえた。
ズズン、
「大丈夫ですか?」
バッとヤイバ、水魅、黄の影が立ち上がる。
「案ずるな
少し体に疲れが蓄まっていただけ。
ふふ、もう年だな」
「そんなこと言わないでいただきたい」
ヤイバは最近弱音を吐かれると必ず反論する担当になっていた。
「分かっておる。まぁ、座りなさい」
促されてようやく三人は座るが、その表情にははっきりと不安が表れていた。
「………心配してくれるのは嬉しいが、私はまだ死なん
安心してよいぞ」
その目はじっとヤイバは見つめている。
「だとよ。ほら、てめぇがそんな顔するから話が進まないじゃねぇか
しっかりしろ」
曦火に励まされてヤイバはようやく表情を戻した。
「すまんな曦火」
「………けっ」
「ちょっと、曦火っ」
「よいよい、では話すぞ」
大きく空気を吸う音が辺りを振動する。
六つの影が緊張して一点を見つめ続ける。
「話とは………これじゃっ」
「これは………」
皆、机に置かれた物を見る。
「契約の、仮面か?」
そこにはまるで不気味に光る仮面が置かれていた。
ただし、触角のような物が後ろに二本伸びており、一見するとウサギやバッタのようにも見えた。
「ヤイバ、受け取るがよい」
今まで静かだった空気が一気に変わった。
それぞれの表情が怪しくなったのはヤイバでも分かった。
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