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ヤイバは突然のことで転がった曦火を無視し、仰々しく頭を下げて、
「契約の仮面、受け入れさせていただきます」
「けっ、初めからそうしやがれってんだ」
曦火は頭を下げるヤイバを見て毒を吐くが、
その表情にはどこかすっきりした様子に見えなくもなかった。
「ふぅん………?」
そのことを知ってか知らずか、水魅は曦火を見つめる。
「あン、なんだよ?」
「別に~」
再び曦火と水魅が睨み合いをしている中、
「ヤイバよ顔をあげなさい。
もう席につくように」
ヤイバは促されてようやく座る。
だが顔は下向き、決して喜んでいる者の表情ではなかった。
「緊張しているのですか?」
そんなヤイバに黄の影が話し掛けてきた。
「初めは誰だって緊張するものです
もっと肩の力を抜くべきです」
「………緊張していないと言えば嘘になる、」
一瞬間を置いて、
「こんな後ろ向きにまで形作られていては
寝返りをしたときなど壊れないか不安だ」
「………寝るときもつけているつもりですか?」
「外すときなんてあるのか?」
二人の意見が完全に食い違っている。
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