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「く…来るなぁ!!!」 薄暗い鬱蒼とした森の中で中年の兵が叫ぶ。 辺りには血なまぐさい匂いが立ち込めている。 それは周りに転がる無数の兵士の亡骸からであった。 そして最後の生き残りが叫ぶ。 「この化け物ぉ!!」 その手に持つ刀は棒きれのように折れ、左の肩から先はなく血がしたたっている。 周りには戦闘の跡と思しき窪みや切り傷のある大木などが静かに見守っている。 その目に映るは異形の生き物。 周りを凍らせるような落ち窪んだ冷たい生気を感じさせない目。 一見か細いように見えるその腕は蜘蛛のように多く、そのうち前足なのだろうか2本だけが鋭利な刃物のような形状をしており、血が妖しく光る。 「お前の命もあとわずかだ…かの帝が貴様の退治を依頼なさっ…」 そう兵士が言い終わる前にその生き物は躊躇いもなく兵士の命を奪わんと前足を振り下ろした。
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