第一取引

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コンッココンコンッ 不意に聞き慣れたノック音。 窓の方を見ると、さもおかしそうな顔をしたあいつがいた。 鍵の開いていた窓から部屋に入ってくる。家宅侵入で訴えてやろうか。ちらり、とそんな考えが頭をよぎる。 「おかしい、それ」 もう軽いどころではない殺意が俺の中に轟いた。 「どういうことだ」 手が震えているのが分かる。 「そういうことだよ」 どういうことだ。 「ちゃんと書いたよ、説明書的なやつに。悲惨なことになっても知らないって。良かったね。 薄らハゲの悩みが解消されて。」 俺は混乱する頭の中で、髪を整えに行かなければ、と思った。 第一取引、完。 つづく…?
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