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けたたましいベルにドアを開けると、ひどく疲れた顔をした彼が立っていた。
「とりあえず、中に入りなよ」促すと、微かに頷く。
「怖いんだ」
後ろでばたんと閉じるドアの音に重ねるように、彼は唐突に口を開いた。
「怖いんだ、怖くて怖くて堪らない。僕は死にたいわけじゃない、姿も記憶も何もかも、体も思いさえも全部消えてしまいたいんだ。何一つ痕を残さず。もちろん君にも忘れて欲しい。僕が消えたらすべて忘れて。まるで居なかったように。僕は僕が居なくなった後に誰にも思い出して欲しくないんだ。誰かに、居なくなった後まで想われたくない。
でも、でも。嫌われたくないよ」
蹲って嗚咽を零す彼に掛ける言葉など、見付からなかった。
*
中学の時のをサルベージ。
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