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準夜勤務が終わり、夜も深まった暗~い帰り道、病院を背に友達の仁菜子(仲良しの同僚)と他愛もない話で盛り上がりながら歩いていると…歩く先の一番近い電柱から、その影に重なり伸びる黒い影が揺れるのがわかった。
恐る恐る探ろうとしていた紗耶とは対照的に、
「誰かいる!!」
と、仁菜子が叫んだ。
叫んだその先には数時間前に帰宅したはずの研修医、河田がいた。
「今日は、検査技師たちとの飲み会があって今ちょうど帰って来たとこなんです。」と河田。
笑顔がニヤリにみえる。<今?電柱の周りには何も姿を遮るものはなく、影はずっと同じ位置を怪しげにユラユラしていた>
仁菜子たちは、「そうなんですかぁ~、ヘェ~。」と受け流し帰ろうとしたが、河田は次から次へ話をしてくる。
数分が経過し、河田に促される様に仁菜子は寮へと帰って行った。
あの時の紗耶はとても無防備で、何に対しても疑うことのない、私が第3者としてみてもバカがつく程のまっすぐな人間だった。
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