第零章

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  「それでお前は俺と拉致した男の反応を見て楽しむわけだろう。魂胆が見え見えだ」  あちゃ。とっくにバレてしまっていたらしい。  とまぁ、当たり障りのない会話を楽しみながら、学園内をのんびりと見回り中の僕と朔夜。何を隠そう僕達は、この学園の風紀を取り締まる風紀委員のトップである。ただ、僕の場合は新しいカップルの発掘を夢見て見回りをしているため、あまりこの学園の風紀をどうこうという考えは持ち合わせていないのだが。おあいにく様朔夜さん。 「そう言えば、ですよ朔夜。新入生が絡んだカップルは一通り発掘し終えて退屈を感じ始めていた今日この頃。何と何と、転入してくる方がいらっしゃるそうじゃないですか!」 「……情報が早いな。誰に聞いたんだ」  苦虫を噛み潰して味わい尽くしたような表情で、朔夜は頭を抱えている。 「どうして教えてくれなかったんですか。興奮が治まらなくてアドレナリンがヤバいです」 「素に戻りかけてるぞ。こうなるからお前だけには知らせたくなかったのに……」  深い溜め息を零している。まぁ僕が今日こんなにもハイテンションなのは、明日にも転入生がこの学園に来るらしいからに他ならないわけだが。  
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