第二章

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  「前? あぁ、黎ちゃんが藍染院と黒瀬を撒いてくれたから助かったよなって……」 「そんなことはどうでもいいんです。確か、僕の記憶が正しければ発育が不十分な人物を貶す俗語が会話に混ざっていたような気がするんですが」 「何だそれ。オレらんなこと言ったっけか?」 「あれじゃね? 声初めて聞いたってのじゃね?」 「そうなの一条ちゃん?」 「違います。チから始まりビで終わる悪口と称するにはあまりにも稚拙な小学生レベルの暴言です。いえ、そうすると小学生に失礼かもしれません。今時小学生ですらもう少し高度な暴言を考え付きそうなものですから」 「チから始まってビで終わる……オレ乳首しか思い浮かばねーんだけど」 「あ、確かに発育が不十分な奴には悪口になるかもしんねーな」 「違います。主に背が低い人物を形容する言葉です。僕がこの世で一番嫌いな言葉が飛び出した気がしたんですよ。僕の思い過ごしでしたらそれが最善なのですが」 「背が低い……ああ! あれじゃね? お前がおチビちゃん二人って言った奴じゃね?」 「なるほどな、チビか。あれ? チビってなんだっけ?」  はい全員しけーい。  僕がこの世で一番忌み嫌う言葉を平然と四回も使いやがった罪は重いと言わざるを得ない。  きっと社君も腸が煮え繰り返る思いをしていることだろうから、僕も社君に味方をする形でコイツらを徹底的にぶちのめそう。言い訳である。  
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