第二章

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  「安心しろ、貴様にしてやる気は毛頭無い」 「こっちから願い下げだぞ」  マジムカつく!  あの社絢斗という生徒は気に入っていた。外見はアレだが、神薙木帝という個人に全く物怖じしなかった上、フォークを投げつけられたのなんて初めての経験だったし。Mではない。ちょっとした好奇心のような物だ。 「一条湊、か」  何で名前口に出しちゃったんだろう。せっかく治まりかけていた怒りが再沸騰してきた。アイツ本気腹立つ。  アイツはあろうことか生徒会長でもある帝に蹴りをかましてきやがったのである。しかも百八十ある彼を吹っ飛ばすくらいの力を込めた蹴り。肋骨折れたんじゃないかと真剣に心配した。  先に殴りかかったのは自分。もちろん全力で殴ろうとした。道を塞ぐ障害は石だろうと虫けらだろうと徹底的に排除するのが神薙木帝という男なのだ。逆らう奴は黙らせる。面倒だから。帝は今までそれを許されてきた。  説教なんて両親にも教師にもされたことなかったのに。初めての説教を噛み締める余裕もないまま、ただひたすら胸クソが悪かった。次あったら絶対ぶっとばしてやる。ついでに社絢斗も玩具に連れて帰ろう。アイツといたら退屈しなさそうだ。  
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