第二章

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   非常に胸クソが悪い帝は、とりあえず気分転換の為に学園内をぶらついてみることにした。心を落ち着かせたい。マジムカつく。駄目だ。心の溜池に石を投入されたみたい。我ながらわけわからん。 「何が友達だ」  全くもって願い下げ。そんな物を増やした所で、一体何のメリットがあると言うんだ。リスクが増すだけじゃないか。  帝は今まで友達なんて甘ったれた物を望んだことはなかったし、これから先もないと断言出来る。帝には人間不信のきらいがあった。彼は自分すら信用してはいないのである。自分すら信用していない彼が、どうして他人を信用することが出来るだろうか、いや出来ない。思わず反語が飛び出した。  この世界に、嘘をついたことのない人間なんて存在しない。  至極当たり前のことだが、それに気付いた瞬間から帝は人を信用出来なくなった。それには自分も含まれる。どんなに小さなことでも、人間は生きている限り嘘を重ねずにはいられないから。  だから彼はペーパーテスト等の時には非常に困る。自分の弾き出した答えは本当に正しいのか。むしろこのテストの問題自体が正しいのか。全てを疑ってかかる姿勢を崩さないのは疲れるが、被害を被らない為には致し方ないことだ。十七年という歳月は、その大切さを教えてくれた。 「下らん。玩具があれば十分だ」  だからお友達なんて幻を、笑って切り捨てちゃうことだって出来る。お友達(笑)みたいな。自分でも捻くれた人間だと思う。  
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