第零章

11/13
前へ
/220ページ
次へ
  「怯むな! 数を考えろ!」  お前こそフラグを考えろ。完全に雑魚キャラの常套句である。  ……あまりに呆気なかった為割愛させて頂く。  ものの数分で地面に這いつくばる形となった大男五人は、起き上がることも出来ないのかかなり低い位置から朔夜を見上げて睨み付けている。ついでに唸り声を上げている。  何かこう、アレだな。エロいな。こうしているとまるで、優等生が気に食わずに喧嘩を吹っ掛けた不良だったが返り討ちに遭い、そして実は優等生だと思っていた相手が根っからのドSで、身体中が軋んで動けない為抵抗も出来ずにあんなことやこんなことをされてすっかり目覚めてしまって、みたいなシチュエーション…… 「湊。よだれ」 「すみません」  じゅるりきりっ。  馬鹿な妄想に耽る前に、襲われていた男の子を何とかしないと。すっかり失念していた。  半ば放心している男の子の縄を解き、痣や目立った外傷が無いことを確認する。良かった。まだ事には及んでいなかったらしい。側に落ちていたブレザーの学年章を確認した所、どうやら同じ二年生だったようだ。 「大丈夫か? 見たところ未遂のようだが……」 「あ……僕……、っ! ヒロ!? ヒロはっ!?」 「ヒロ?」  
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2435人が本棚に入れています
本棚に追加