第二章

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   さて、そんな彼だから、先程南から提案されたディナー時に謝って友達になっちゃおう大作戦は脳内から早々にデリートされた。すると、途端に手持無沙汰。  さて、何しよう。  真面目に見回りなんて出来るかって話だし、せっかくの昼休みだからのんびりしたい気分である。 「寝るか」  保健室か屋上か。少しだけ迷ったが、今は柔らかな香りに包まれて眠りたい気分ってやだ自分が気持ち悪い。  どうやら相当気が滅入っているらしいことに気付いた帝は、大袈裟に溜め息を一つ吐き出すと惰眠を貪る為に屋上へ足を伸ばす。  回顧する。  この屋上に花を植えるよう手配したのは何を隠そう帝だった。憩いの場には花。これ常識。帝なりに、生徒が心地好く過ごせる環境を考えたらこうなった。だってセレブなんだもん。その辺りの思考回路はどうしようもない。 「とりあえず花をいっぱい」  そう伝えたら、花屋が頑張り過ぎた結果こうなった。帝がこの学園に進学してすぐ、憩いの場を求めて屋上を模様替え(あるいはリフォームの域かもしれないが)したのだ。もちろん私財を擲って。我ながらいい出来映えである。それ以来、カラフルな花々で覆われたなんちゃって花園的屋上は帝にとっても憩いの場となっている。  
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