第二章

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   白くて小さい二匹、すなわち社絢斗と一条湊は、自分達より遥かに体格のいい男達を圧倒していた。なかなかシュールな光景。  帝が見た所、二人の体格はお世辞にも恵まれているとは言えない。貧相な部類だろう。一条湊の方が社絢斗より少し背が高いくらいか。  社絢斗の方は迫り来る拳を紙一重でかわしつつ、回転する勢いを利用して顔面に裏拳を叩き込んだり、顔面を鷲掴んで投げ飛ばしたり……派手な奴だな。顔面ばかり狙われる男達に同情。  一条湊の方は迫り来る拳を器用に手で受け流しつつ、帝を蹴り飛ばしたあの憎き回し蹴りを叩き込んでいた。顔を狙わないのは優しさからなのか、はたまた単に顔に傷を付けたら後々面倒だからなのか、それは神薙木には分からない。ただ、脇腹を蹴られた男は身体を大きく歪曲させながら吹っ飛んでいるから、結局地面で顔を擦ったりして後者なら大して意味がないのではないかと思った。  結論、わけわからん。  ただ、カラフルな頭をした男達が完全に沈黙するまで、さして時間はかからなかった。    ★ ★ ★  げげげ。  いや、別に流行語に肖ってどうこうというわけではなくて、単純に視界を過った人物に対して面倒な予感がしただけである。今日は厄日か。顔殴られるしチビ言われるし会長はこっち見てるし。こっち見んな。  
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