第二章

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   思いの外社君が荒ぶっちゃった為、随分乱闘の痕跡が残ってしまった。いや、これは確実に僕の落ち度である。社君に予め注意しておかなかった僕が悪い。だって社君がそんなことまで考えて喧嘩するはずないもんね。 「俺、黎司が脅されてるくらいだからもっと強いもんだと思ってたけど、何だ、全然弱っちいし」 「それはまあ、社君からすれば大したことはないでしょうね」 「湊もじゃん。俺あんな蹴り久々に見た!」 「それは光栄です」  いや、僕の場合は単に殴ると自分の手も痛いから蹴ってるだけなんだけどね。そこはあまり気にならなかったらしいしいいや。置いとこう。  無事にカラフル七人衆に神罰を下した社君だったが、目下新たな危機に直面していた。 「……貴様ら、ここで何をしている」  そうです。社君が大暴れするシーンを何様俺様会長様に見られちゃいました。非常にマズいわ。上手い言い訳が全く思い付かん。 「この男達は何だ。貴様らが一方的に暴力を振るっていたように見えたが。返答次第では……分かっているな?」 「これはこれは、会長、昨日以来ですね。本日は大変日柄もよろしく……」 「誰が日柄の話をしろと言った。質問に答えろ」     にこやかに挨拶を交わしつつ話題をすり替えちゃおう作戦はあえなく失敗に終わった。悔しいです。  
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