第二章

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   どうしたもんかね。目がめちゃくちゃ怖いんだもん会長。突き刺さりそう。何故そんなにも怒ってるんだろう。何にせよ会長の怒りを鎮める術なんて見当もつかない僕にはどうすることも出来ない。昼下がりの麗らかな陽気云々は即座に切り伏せられたし。  どうしよう。とりあえず社君を使ってみようか。 「社君、ちょっと耳を貸して下さい」 「ん?」  ごにょごにょ。  内容を理解してくれたのか、何度か頷いた社君に安堵。 「俺はそれを言えばいいんだな?」 「ええ、とりあえずはそうしてみて下さい。出来るだけ怯えた様子で」 「ん、分かった」 「おい、さっきから何をごちゃごちゃと──」 「会長!」  いきなり大きな声を出した社君に、会長は少し面食らったようだ。よし、そこからこちらのペースを作り上げるんだ。大丈夫。社君なら出来るよ! 「おっ、俺達っ……ううっ」 「いきなりどうした。何だそのふざけた泣き真似は。裂くぞ」  神経逆撫でてどうする。確かに怯えた様子でとは言ったがちょっとオーバー過ぎるぞ。よよよ、とスポットライトでも当てれば丁度いい感じのポーズで、小賢しい泣き真似を披露しながら見上げてくる社君に、会長の青筋ががっつり浮き出ているのが見えた。社君、それ逆効果や!  
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