第二章

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   しかし、基本的に他人の顔色を窺う努力をしようとしない社君は、そんな会長なんてお構い無しに小芝居に全力を注いでいた。 「お、俺達っ……コイツらに犯すぞって脅されて……っ!」 「散々茶番を引っ張った挙げ句豪快な嘘をつくな。あまりに潔いから俺まで驚いてしまった」  そりゃバレますよね。でも嘘は言ってないんだよね実は。だって実際脱がされる寸前だったし。脱がされそうになったらどちらにせよ乱闘になっていたと思うし、避けられない展開だったんだよと誰にというわけでもない弁明を述べておく。 「嘘は言ってませんよ」 「この惨状を見て今のを真実だと断言出来る貴様の精神力は称賛に値するが、俺にそれを信じろと言うのか? はっ、笑わせる」 「でも実際の所、彼らは僕達を強姦なりなんなりするつもりだったみたいで。僕の口、切れてるでしょう? 正当防衛だったんです」  怪訝そうに形の良い眉を寄せて僕の顔を覗き込んでくる会長。反射的に避けたら、まためちゃくちゃ怖い目で睨まれた。 「何故逃げる」 「会長が近付くからです」 「近付かなければ口が切れてるかどうかなんて分からないだろうが。大人しくしろ」 「断固拒否します。あまり顔をじろじろ見られるのは好きではないんです」 「貴様は俺に何をさせたいんだ」  だってそんな顔で近付かれると……ねえ? 凡人代表の僕としては劣等感が……ねえ?  
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