第二章

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   まさかの脈ありパターンじゃねこれ。雨宮親衛隊長のこと知ってたんだ。少し嬉しそうな声を上げた社君だったが、会長の次の言葉に二人で固まることになる。 「親衛隊とかいうふざけた組織の代表だったな。アレには甚だ迷惑している。名前なぞ嫌でも覚えさせられるというものだ」  それがどうかしたか、と会長。  ……ごめん、雨宮親衛隊長。脈ありとか適当なこと言って。むしろ脈ゼロだったわ。いや、でも僕言ったよね? んなことしたって会長は振り向かないって。振り向かないどころか逆効果でしたみたいなね。なにそれ切ない。 「迷惑って……」 「迷惑以外に何と言えばいい。昨年、いや一昨年からそうだったが、制裁と称してことあるごとに問題を起こしては俺に恩着せがましい視線を向けてくる……全くもってうんざりしていた」 「それはっ、やり方は確かに悪かったかもしれないけど会長のことを思って……」 「俺がいつそんなことを頼んだというんだ。俺を思ってだと? 冗談も大概にしろ」  うん、今回は会長に同意。ほら、過剰な愛は身を滅ぼすっていうアレだ。相手を思いすぎてレイプしちゃうのはスイーツ(笑)だけに許された特権だと思います。等身大の愛とか何とかそういうので、犯罪が許容されるのは小説だからだぜって話。  
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