第二章

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  「満足か? まあ、いい。それで、次は俺の質問に答えて貰おう。貴様らはここで……何をしていた?」  突如として一陣の風がまるで肌を削り取るように吹き抜け……ませんでした。空気読め風。そりゃまあ屋上とは言っても温室的な造りだからね。ビニールで覆われているから風なんか吹くわけないんですよ。 「俺らは……さっきまで黎司と話してたんだ」 「何だと?」 「事実です。先程まで彼と一緒でした。残念ながら、彼はコイツらを残して帰ってしまいましたが」 「また親衛隊か。だから言っただろう。奴らは面倒しか起こさない」 「そんな言い方すんなよ!」  だから何故社君は雨宮親衛隊長のことになるとこうも感情的になるんだろう。やっぱり気があるんだろうか。いいぞもっとやれ。 「俺には分かるよ、黎司の気持ち。会長のこと好き過ぎて周りなんて見えなくて……好きな人の為にあんだけ一生懸命になれるって、きっと凄いことなんだと思うし」 「だからその一生懸命が全然好きな人の為になってないと何回も」 「湊は黙ってて!」  すっ、すみません! え、何で僕怒られてんの? 「俺、やっぱり黎司と友達になりたい!」 「おい、俺を無視して話を進めるな。まだくたばっている馬鹿七人の説明を受けていないぞ」 「無駄ですよ、会長。社君は一度意気込み出すと周囲が全く見えなくなります」 「迷惑極まりないな。では貴様が説明しろ」  あいあい、分かってますって。全力で説明させて頂きます。だからそろそろ睨むのをやめたげてよお!  
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