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聞き慣れない呼称に朔夜が聞き返す。男の子はキョロキョロと忙しなく辺りを見回した後、倒れている大男の一人に目を留めると、「ヒロっ!」と叫んでからその巨体に駆け寄った。
「馬鹿! ヒロの馬鹿! 何でこんなっ……!」
「あ……? お前……、ってえ……」
「動かないで! 何でこんなボロボロになるまで……」
「仕方ねえだろ……っつ、お前があんな奴にって考えれば考えるほどワケ分かんなくなっちまって! 俺だってどうすりゃいいか分かんなかったんだよ!」
「馬鹿! ホントにヒロは馬鹿だよっ! 何で……何で僕の気持ちに気付いてくんないのさ! こんなことになるならきちんと伝えとけば良かった……」
「お前……今、何て……」
「ずっと前から好きだったんだ。でもヒロは幼馴染みだし……アイツに抱かれたって聞けば、ヒロが嫉妬してくれるんじゃないかって思ったからっ! 自分から告白する勇気が無かったから、だからあんな噂を流したんだ」
「……くそっ、何だよそれ! 俺だってずっと前から好きだったんだよ! だからアイツにやるくらいならって思ったし、風紀振り切ってお前を連れて逃げるつもりだったのに……何だよ……俺ばっかり馬鹿みてえじゃんかよ……」
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