第一章

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     ★ ★ ★  僕がこの学園に対して抱いている数少ない不満。その一つは、昨年の生徒会がひどく大人しかったことである。  ……提起したばかりの話題を投げ出すという暴挙に平然と出ちゃう僕を許して欲しい。とりあえず、長い付き合い(まだ一年)であり僕の唯一の友人である朔夜を紹介させて頂きたいのである。後々残して置くと色々と僕が面倒を被ってしまうから。  藍染院 朔夜(あいぜんいん さくや)。私立聖漣学園第二学年Bクラス。そして何より《第五十七代聖漣学園高等部風紀委員会代表》。この学園で僕が腐男子だと知っている数少ない人間の一人である。  ……もうね、名前からして分かるように立派なご家庭からいらっしゃいましたわけです。そりゃあもうびっくりするくらい一流です。どのくらい一流かって、金持ちのご子息ばかりが集うこの学園でも五本の指に入るほど。コンツェルンという表現は適当ではないかも知れないが、そういう類いの日本でもトップクラスのでっかいお家からいらっしゃった才色兼備の麗人。本来どちらも女性を表す言葉であるが、朔夜なら世の女性達も頬を赤らめて見逃してくれるだろう。  部活動には所属しておらず、しかし運動をさせたら並の部活選手より遥かに優れる身体能力。頭脳明晰で学年次席。特に数学、物理、化学に長けるというバリバリの理系頭で、更に帰国子女で英語はネイティブという反則級のステータス。  
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