第一章

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   烏の羽根のように艶のある黒髪は耳に掛かるくらいの長さで、その綺麗な輪郭を際立たせている。オールバックを極限まで緩くしたような感じ。朔夜が髪を掻き上げる度に僕以外のクラスメイト及び担任以外の教師がもれなくメロメロになります。  アーモンド型の切れ長の目に、整った眉。二重瞼の奥には黒曜石のように煌めく瞳が埋まっていて、その気になれば眼力で人を飼い慣らせるレベル。馬鹿にしてんのかってくらい高い鼻に、薄い唇は適度に赤くエロい。その唇は普段真一文字に固く結ばれていて、機嫌が悪い時に舌打ちを漏らす際には白い歯が覗く。  ……もうここまでで随分お腹一杯なんじゃないですか? でもまだまだ続くよ!  身長百八十二センチ体重六十七キロ。でも筋肉がついていないわけではなくて、脱いだら凄いんですと同室者でもある僕は語る。写真撮っちゃったもん。二万で売り捌いて良いか聞いたらしこたま殴られたけど。本当に彫刻のようなお身体をしていらっしゃる。当然ながら親衛隊持ち。本人は嫌がっているのだが、熱烈過ぎて説得するのが面倒になったらしい。  そ、し、て!  眼鏡。何よりも眼鏡。上品な銀のハーフフレームの眼鏡は朔夜の高貴な印象を際立たせていて、一部の生徒(あるいは教師も)からは蠱惑的とかそういう次元を超越していると評判である。  
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