第一章

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  「天が頑張りすぎた結果がこれだよ」と言った所か。天が朔夜に与えた物は到底二物どころでは収まりきらなくて、その才能のいくらかを慈善団体に寄付したくなる恵まれよう。普段からあまり愛想は良くない方なのに人望は厚い朔夜は、めでたく風紀委員長に大抜擢されてしまい今に至るというわけだ。  さて、一通り朔夜の紹介を終えた所で、冒頭の話題を引っ張って来るとしよう。僕の自己紹介はまた今度の機会に。  原則として生徒の投票で選ばれる生徒会は、会長、副会長、書記が一人ずつ、会計が二人という構成になっているのだが、昨年はこれといった王道イベントが無いまま今年に突入してしまった。そのことだけが心残りで、王道信者な僕は是非とも転入生君に頑張って頂きたいわけである。王道転入生落ちてないかなーと三日に一度は考えて過ごしてきた僕からしてみれば、干天の慈雨とも言うべきこの度の転入生。これはもう生徒会を骨抜きにして頂くしかないでしょう。 「湊、よだれ」 「すみません」  じゅるり。きりっ。  待望の転入生が、今日、この学園に来るのだ。    ★ ★ ★  転入生のお出迎えという大役を仰せつかってしまいました。いや、勿論自ら志願したわけですが。  
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