第一章

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   お約束である副会長との一悶着が見たくて見たくて堪らなかったんです。  授業を抜け出してまで王道を優先させた僕は、現在学園の正門に待機している。ウィーンガシャーンピピーといちいち煩い。定期的にロックを自動で確認する仕組みらしい。まぁ、厳重過ぎるこの門も学園に通う生徒の面々を考慮すれば妥当か。 「ねぇねぇ。みなとは納豆にかけるのは卵とネギどっちが好きなんだぞ?」 「すみません、あまり納豆自体好きじゃないんです」 「そっかぁ……ちょっと残念。あ、でも好き嫌いしないで何でも食べないと大きくなれないんだぞ! だからみなとはちっちゃいんだぞ!」 「それ、先輩にだけは言われたくないですね」  こんなに素晴らしい陽気で、こんなに素晴らしいことが僕を待っていると言うのに。嗚呼、先程から頭が痛くて堪らない。  思い返してみると、僕が朔夜の道連れ的に風紀委員に所属することが決まったのは昨年度の三月。そして新たな生徒会メンバーが選ばれたのは今年度の四月。只今四月。要するに、生徒会は発足して間もない組織であるわけだ。  生徒会メンバーが決定される投票があったのは確か先週だった気がするが、あまり確かではない。投票結果に基づいて生徒会メンバーが発表されたのがつい先日のことであるから、多分そのくらいだったのではないかと思うのだが。  
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