第一章

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   勘の良い方は、そろそろ僕の言わんとしていることにお気付きなのではないだろうか。 「うーん、そう言えば確かにみなとの方が僕より背が高いみたい。何だか悔しいんだぞ。僕の方が先輩なのに……」 「そのタイミングでうるうる上目遣いっ! スキルは称賛に値しますね。ですが相手を考えて下さい。そういうのは僕以外の誰かにしてくれないと萌えません」 「あはは、みなとってば可愛いんだぞ!」 「……先輩って、よく自分のこと全く分かってなさそうって言われません?」 「ふぇ? 確かによく言われるけど何で分かったんだぞ!? みなとって実はエスパー!?」  エスパーだうちゅーじんだー。  目の前でぴょんぴょん跳ねながら満面の笑みで話し掛けてくる、それこそ宇宙人のような彼に僕はもう目眩すら感じ始めていた。  もう、分かったね?  この小動物系の可愛らしい生徒こそ、この(第五十七代聖漣学園高等部生徒総会副代表)という栄えある地位に輝いた全生徒達のカリスマ的存在──南 悠歩(みなみ ゆうほ)その人である。王道はどうした。誰か王道を呼んでこい。  ここで弁解を挟むと、前述したように今年度の生徒会が発足したのはつい先日のことで、僕が生徒会メンバーを確認する時間はほぼ無かったと言っていい。  
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