第一章

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   名前だけは放送で読み上げられていた気がするのだが、残念ながら情報を仕入れるだけの余裕は無かったのだ。仕方ないよね。  とりあえずは、目の前の小動物を観察することにする。  元々色素が薄いのか、白い肌は見るからにすべすべしていそうできめ細かい。ハニーブラウンの髪はふわふわの猫っ毛で、思わず抱き着いてもふもふくんかくんかしたくなる。いや、しないけど。追々カップリングを考えたら、相手の方には思う存分もふもふくんかくんかして頂きたい所ではあるが。  真ん丸の目は髪と同色で、頬はデフォルトで健康的なピンク色。小さな口元にはいつでもはにかんでいるような笑み。身長は僕より十センチ低いくらいだから、多分百六十センチ前後だと思われる。  なにこのいきものかわいい。  結論としては癒し系小動物にカテゴライズしておいた。この先輩なら語尾に「だぞ」って付けても許しちゃうわ。本来なら断罪モノだが、先輩が言っても何ら不自然じゃないし。 「あれ? ところでみなとはどうしてこんな所にいるんだぞ? 授業中なのに」  こてん。ぐはあっ。  まず先輩が首を傾げた擬音。そして次は僕が吐血しそうになった擬音。もう駄目だ可愛過ぎるこの生物。身ぐるみ剥がして飢えた生徒達の前に放り出したい。  
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