第一章

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  「ここが食堂になります。今は授業中なので人陰もありませんが、昼休みや夕食時にはかなり混雑しますね」 「うっわぁ、やっぱり豪華でおっきい! それに綺麗!」 「清掃は業者の方に一任していますからね。月に一度、全生徒と教職員が集まってディナーショウなる物が行われたりします」 「こないだはプロのピアニストとジャズシンガーが来て演奏したんだぞ! 僕は寝てたけど!」  この二人を連れて回ると、良い意味でも悪い意味でも退屈はしない。ただ、果てしなく頭が痛い。ガンガンする。キャッキャとはしゃぎ回る小動物二匹を遠目に眺めながら、何でこんな役引き受けたんだろうとそこはかとなく後悔した。本当に今更だが。  まず正門でかなり時間を費やした。社君は見た通りと言うか王道通りと言うか、とにかく好奇心旺盛で門の仕組みを徹底的に解明しようとし始めたのである。 「ここにそのカードを翳すわけだな?」「うわ、すげー! 動いたっ!」「俺が思うに、そのカードは太古の昔封印された魔法のカードなんだよ!」「もっ、もしかして、湊って魔法使いか!? すげーなここ! 魔法使いも居るのか! 俺も魔法使いになれるかな!?」  それに続いて副会長が「違う違う、みなとは魔法使いじゃなくてエスパーなんだぞ!」とまぁ、勝手に人を超人に仕立て上げていた。  残念ながら、僕が本当に魔法使いやエスパーだったらまず始めにあなた達二人を消滅させています。  
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