第一章

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   無邪気なのは大いに結構。つまる所そこに王道が収束するわけだから。無自覚無邪気総受けおいしいです。  ですが。ですがね。 「二人とも。そろそろ学園内はいいでしょうから、理事長の所へ行きましょうか」 「悠歩、ここで一番美味しい料理って何だ!?」 「うむー、中々ハイレベルな質問だぞ……。僕は《スペシャルケーキ特盛セット~あなたに至高の甘味を~》がお気に入りだぞ!」 「ケーキしかなさそう! なぁなぁ、この《スペシャルリブロース~季節野菜のマリネを添えて~》って美味い? 俺何か腹減ってきた」  聞いちゃあいねぇ。マリネ添えんな馬鹿。  共鳴とでも言うべきか、すっかりウマが合ってしまった小動物二匹。副会長呼び捨てとか命知らず。親衛隊に殺されるぞ、と思ったが、副会長が全く気にしていないから気にしない。何だか色々考えるのが馬鹿らしくなってきた。単純思考の彼らはスペシャルというワードがどうしようもなく魅力的に見えるらしく、挙がる料理名は先程からスペシャルばかりだ。  王道転入生こと社 絢斗君は二年生。最初は同じクラスになりたいと切望していた筈なのだが、あれ、おかしいな。今はもう社君と関わりたくないという魂の叫びばかりが僕の心を支配している。  
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