第一章

15/49
前へ
/220ページ
次へ
  「まぁ、収穫はありましたよ」  まず、王道転入生こと社君はほぼ間違いなく変装しているということ。これは多分朔夜も何となく予想していただろう。転入生が来るに当たって、王道について熱く語って聞かせておいたから。凄く嫌そうな顔をしていたし、強烈な出来事ほどよく覚えているものだ。  そしてまだ臆測の域を出ないが、多分社君は理事長の甥っ子であるということ。これは確証が無いのであくまで臆測だ、と断ってから話した。そう判断した要因はいくつかある。  まず始めに、あれだけ王道まっしぐらな社君だしという至ってシンプルな理由。OKである。王道的に考えてってこと。次に、真面目敬語キャラを《叔父さん》から強要されていたということ。これは割と重要なファクターである。  まず社君の叔父さんが変装とキャラ変えを勧めたのは、間違いなく社君の身を案じてのことだろう。こんな所に天使のような可愛い甥っ子を放り込むのは憚られるだろうし、もし可愛い甥っ子がどこぞの馬の骨とも知れない輩に掘られたりしたら、と社君の叔父さんが考えたのだとしたら、あれだけオーバーな変装も頷ける。まさに王道である。  そうすると必然的に、叔父さんはこの学園の実態を知っていることになる。しかも変装を勧めたのも両親ではなく叔父さん。とすると、両親は学園の実態を知らなかったと考えるのが自然だ。つまりこの学園に来るに当たって、社君は叔父さんを頼ってきた可能性が高い。  
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2435人が本棚に入れています
本棚に追加