第一章

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   こじつけた感が否めないのだが、まぁそこはOKである。王道的に考えて。これ流行る気がする。主にそういう界隈で。と言うよりそういう界隈以外で流行したらその時が日本の終末かもしれない。 「成る程な……」  顎に手を添えて考え込む朔夜。無駄にエロい! 「今何か失礼なことを考えただろう」 「いえ。全く。ぜんぜん」 「疑わしいな。で? 俺はどうすれば良いんだ」  どうやら協力してくれるらしかった。本当にいい人だね。持つべき物は何とやらって、昔の人は良いこと言ったものだ。 「とりあえず、来るべき日まで社君をカバーしてあげたいんです。具体的には自ら変装を解く日まで」 「それはまた何故だ」 「そんなの王道が以下略だからに決まっているでしょう」 「だろうな」  所変わって、ランチタイムは屋上である。諦めたように空を仰ぐ朔夜に、手元のタマゴサンドを一つ差し出した。不満そうに目を細めていたがどうやら無下にするのも忍びないようで、乱暴な手つきでそれを受け取ると控え目にかじりついている。たまにはこういう間食も良かろう。いつも畏まった料理ばかり食べていたら、舌がすっかり肥えてしまって市民食なんて食べられなくなるぞ。 「存外美味いものだな」 「そりゃあまぁ、一応売り物ですからね」  屋上と言っても、一般的に屋上に分類されるそれとは全く別物だと思って頂いたほうが都合が良い。僕にも上手く説明出来ない。  
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