第一章

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   僕の考える所の屋上というのは、地面はコンクリートなのだ。グレーの質素な奴。ところがどうだ。屋上に緑を植えると建物全体の気温が下がるというのは小耳に挟んだことがあるが、恐らくこの芝生にそのような意味は無いのだろう。色とりどりの花々が窮屈そうに咲き乱れているのを眺めていると、何だか切なくなる。  とりあえず豪華にが第一信条である聖漣学園において、無骨なコンクリートの屋上なんて考えられないことなのかもしれない。お陰様で座り心地はすこぶる良いのだが、どことなく違和感。いつまで経っても慣れない。 「昼からの授業、あまり出たくない気分です」 「そうか。まぁ、好きにするといい。教師には俺から報告しておこう」  タマゴサンドを食べる朔夜の図。何故だかシュール。 「冗談ですよ。成績に関わるのはあまり芳しくないですしね」 「お前なら一日くらい出なくても全く支障は無さそうだがな。では戻るとするか」  ガチャ。  先に断っておくと、僕と朔夜はまだ地面に胡座をかいて座っているわけで、このガチャという音がこちら側から生じる筈もない。某格ゲーのヨガフレイムの人か某ゴムゴムの人ならあるいは可能かも知れないが、生身の人間の話に限定する。  
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