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「うはー、やっぱ屋上もめっちゃくちゃ広いんだな」
「おい! あんま走り回って怪我しても知らねぇぞ」
「へへっ、ノープロブレム!」
「……頭痛が痛いんですが」
「奴が例の転入生か。確かに予想外にオーバーな変装だ。あれでは怪し過ぎる」
再び頭痛に苛まれることとなった僕を尻目に、朔夜は突如屋上に姿を現した噂の転入生、社絢斗その人を遠目ながら観察し始めた。ヨガフレイムの人やゴムゴムの人の何百倍もやっかいな、噂の彼のご登場である。噂をすれば何とやら。とりあえず僕から一言、思いの丈を詰め込んで叫ばせて頂こう。
ま、た、お、前、か。
「お、湊がいる! おーい、みなとー!」
「……飛び降りたら楽になれると思いますか?」
「湊、ご指名だ。王道大好きって日頃からずっと言っていたじゃないか。覚悟を決めろ」
ひどい!
千切れんばかりにブンブンと腕を振りながら走ってくる社君と、早速お近づきになったらしい王道一匹狼と思われる眼光鋭いイケメンを目の前にして、僕は全力でここから逃げ出したくなった。ここではないどこかへ。
「湊もサボりか? 意外だなー、湊すっげー真面目そうなのに」
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