第一章

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   僕の目より少し低い位置にある好き勝手跳ねている黒髪はどう見ても鬘で、どうして皆は気付かないんだろうと考えてみるのだが、まぁそこはOKということで早々に疑問を片付けた。王道的に考えて。今更ながらあまり浸透しない気がしてきた。 「サボりというわけではありませんよ。少し遅めのランチタイムです」 「ハムサンド? うまそー! 一口頂きまーす」  ぱくん。はむはむ。ごくん。  言うが早いか僕の手に残されていた食べ掛けのサンドイッチにかじりついた社君に、朔夜も後ろの彼も面食らっていた。どうだ。これが王道の真髄だ。だがまだまだ序の口だし、こんなことに一々驚いていたのではこれから先苦しいぞ。  うめー、と屈託無く笑ってみせる社君に、未だ呆けている朔夜に、我に返ったのか僕を凄まじい目で睨み付けてくる後ろの彼に、特に驚きもせず残りのサンドイッチをどうすべきか考えている僕。 「えっと、後ろの彼は?」  とりあえず、彼が誰なのか把握しておかないことには話が進まない。それによって、いざというときの対応も変わってくるだろう。確か彼はAクラスの人間だったと思うのだが確証が無かった為、確認の意味も込めて尋ねてみたわけだ。  
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