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「湊はな、今朝学園内を案内して回ってくれたんだよ」
僕の代わりに社君が答えてくれた。ありがたい。凄い目をしている黒瀬君にちょっとビビってしまっている為、口を開いたら確実に噛んでしまうだろうから。敬語キャラは日常会話を流暢に行わなくてはならないから面倒だ。
「自己紹介とかしましたっけ?」
何で黒瀬君が僕の名前を知っているのだろうと考えていたら、思わず声に出してしまった。僕の心の声の予定だったのに。
「テメェらは自分で考えてるよりずっと有名なんだよ。絢斗が妙な言いがかりでもつけられたらたまったモンじゃねぇ」
あぁ、そうか。朔夜が有名だからか。隣にいる僕も必然的に有名になっちゃうっていうアレか。
朔夜と仲良さげな転入生の社君が親衛隊から嫌がらせを、という王道展開を黒瀬君は危惧しているらしい。ただ、君が言えたことじゃないと思うんだけどな。
「黒瀬が言えたことではないだろう。お前は悪い意味で有名だからな」
「……刺すぞテメェ」
なにそれ危ない。
本格的に殺人を仄めかしている黒瀬君を、朔夜は気にも留めていない。完璧に僕の考えを代弁してくれた。
「アキ、言いがかりって何のことだよ? 俺なら大丈夫。自分の身くらい自分で守れるし、この学園で沢山友達作りたいし。湊や朔夜ともっと仲良くなりてーもん!」
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