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「仕方ありません。僕のこの両目に焼き付けて脳内永久保存という形で妥協しましょう」
「俺の携帯で良ければ貸すが」
「あなたが神か」
「みーなーとー! さーくーやー!」
さて、とりあえず問題は解決したので、後は二人と合流して優雅なディナーを楽しむだけである。スパイスは王道。OKOK。そして間もなく、赤絨毯にシャンデリアが煌めくこの廊下には相応しくない大音量の声が木霊した。
社絢斗のお出ましである。
相変わらず黒いパーカーを羽織っている黒瀬君は、僕達を視認した瞬間には不機嫌そうに眉根を寄せていた。憮然とした表情の狼を従えた社君は、対称的に大袈裟に手を振って走って来る。
「遅れてごめんな。待った?」
「いや、俺達も丁度今着いた所だから気にしなくていい」
「社君と黒瀬君は時間通りですよ。僕達が早く着き過ぎたんです」
逸る気持ちをコントロール出来なかった僕が朔夜を急かした為である。だってアドレナリンが以下略。
「じゃあ早く食べようぜ。俺もう腹へって死にそー!」
背後で舌打ちをしている黒瀬君を尻目に、朔夜が大食堂の両開き扉(もちろん金ぴかに装飾)に手を掛けた。
キャアアアアアアア!
朔夜と黒瀬君がまず大食堂に乗り込んでしまったが為、お約束の黄色い悲鳴が耳をつんざく。
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