第一章

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  「おい、南。目当ての野郎はどこだ。さっさと探せ」  眼光鋭くとはよく言ったものだが、この人の場合は刃物的過ぎて突き刺さるレベル。恐らく地毛だと思われる金髪をポニーテールみたいに後ろで一つに纏めていて、硝子のように透き通った双眸はまさにサファイア。耳にはシンプルなクロスのピアスが一つずつ。制服は豪快に着崩している。周囲の可愛い子羊達には、はだけた胸元をガン見して鼻血を垂らしている者もちらほら。  ……ポニテって。しかもそれが似合っているから恐ろしい。どうせなら髪型までロングウルフで王道貫き通せよ。  多分この人が何様俺様会長様なのだろう。背高いし手足長過ぎるし綺麗だしもうびっくり。パーフェクト過ぎて逆に気持ち悪いな。 「悠ちゃんが懐くなんて、きっと相当綺麗な人なんだろうねー」 「いやいやー、きっとめちゃくちゃカッコいい人なんだよー」 「そうかなー?」 「そうだよー」 「「ま、別に興味無いけどー」」  こっちも王道で安心した。説明はもはや不要だろう。恐らく会計の双子らしき二人組。いや、確実に双子。クローンですかそうですか。  ぱっと見僕よりは高いが、抜きん出て高いわけではない身長。橙色のボブカットに同色の瞳と、よく出来た人形みたいな二人組である。一人は前髪が顔の右半分を覆い隠し、もう一人は左半分を同じように覆い隠していた。サイコな人なのかな。  会長(仮)とは違ってきちんとブレザーを着込んでいる辺り、ある程度話は通じる人達なのかも知れない。  
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