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「やっと見付けた! 随分探し回ったんだぞ……。お久しぶりだぞ!」
「おう、久しぶり。悠歩も晩飯?」
「そうなんだぞ。折角ならあやとやみなとと一緒に食べたかったのだ!」
お久しぶりという常套句に違和感を感じたが、まぁこの二人に何を言った所で全く効果は無さそうだし、とりあえず傍観に徹する。
「朔夜、黒瀬君。恐らくこれから騒がしくなりますが、とりあえず二人は何があっても黙っていて下さい。僕は二人よりこの場の切り抜け方を熟知していると自負していますし、下手に動かれると余計にややこしくなります」
「あ゛ぁ? それ、どういうことだよ」
「黒瀬、すまないが湊の言う通りにしてくれないか。湊は王道に関しては素人ではないから大丈夫だ。恐らく」
「あ? 王道って何だよ」
君は知らなくて良いことさ。
二人の動きを予め制限させて貰った。と言うのも、黒瀬君なんかは特に社君が会長様にキスされたりしたら我を忘れて暴れ回ることはまず間違いないからである。朔夜は理解者であるからあまり心配はしていないのだが、確認の意味合いを込めて。
「みなとも久しぶり。会いたかったんだぞ!」
「昼以来ですね。とりあえず社君が苦しそうなので離してあげてくれませんか」
うぎゅ、と社君の口から声にならない悲鳴が漏れた。
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