第一章

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  「この金髪は神薙木 帝(かんなぎ みかど)。どうしようもない会長だけど仲良くしてあげて欲しいんだぞ」 「貴様、三枚に降ろすぞ」  形の良い眉を吊り上げた会長。続いて、再び忌々しげに社君を一瞥。 「南のお気に入りと聞いて来てみたものの、とんだ無駄足だったな。何だこの醜い有り様は。本当に人間なのかすら疑わしいな。もう一匹は……確か風紀の人間だったか。まぁいい。大して興味も湧かん。しかし、南も物好きな奴だ。こんな下らない連中に構っていられる程度には暇だということか」 「テメェ──」  ひゅ──  目の前を銀色の何かが過って、次の瞬間にはカラカラ、と地面を転がっていた。フォーク、だと?  周囲を見ると、目を見開いている朔夜と黒瀬君と会長と副会長と……要するにこの場に居合わせた全員。あ、わんこさんがぼーっとしているのは単に眠かったからっぽいからノーカウント。黒瀬君に至っては会長に文句をつけようと立ち上がりかけた姿勢のまま、へ、と間の抜けた声を漏らしていた。 「おい、黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって。俺のことを悪く言うのは構わねーけどな、湊や悠歩まで悪く言うのは絶対に許さねー」  激昂した黒瀬君が会長に何か言う前に、社君が会長目掛けてテーブルの上にあった未使用のフォークを投擲していたのである。わお。案外過激なのね。  
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