第一章

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  「ソイツを寄越せ。俺はソイツが気に入った。邪魔をするなら容赦はしない」  言うが早いか、まだ返答もしていない僕に会長は殴りかかってきたわけで。お前も大概にしとけ。喧嘩っ早い所も王道……かな? 最近王道王道言い過ぎて王道がゲシュタルト崩壊気味である。  空いている右手で会長の拳を叩き、軌道をずらす……っておい。ちょっと待て。結構本気でいなしたのに顔面スレスレてお前。ガチで一般生徒の顔面を狙うんじゃない。  本気で顔面を狙われてムカついたので、お返しに腹にマジキック入れてやった。反撃を予想していなかったのか、思いの外ミドルが綺麗に決まり会長は吹っ飛んだ。あ。こんなに飛ばすつもりではなかったのに。まずった。一瞬ヒヤッとしたが、いい感じに周囲が静かになった為万事OKとする。  よし、後は捨て台詞を吐いて退散するだけだ。 「先に断っておきますが純度百パーセントの正当防衛ですので悪しからず。風紀委員として、これ以上は看過出来ません」  然り気無く朔夜に目配せし、未だ固まっている黒瀬君を起こしておいて貰おうと試みる。どうやら伝わったらしく、朔夜は黒瀬君の頬を叩いていた。往復はちょっと過剰なのではないかと思うんだけど。起きてくれたら何でも良いか。  
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