第零章

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   なにそれこわい。  面倒になりすぎて物騒なことを口走り始めた朔夜だったが、面倒を顔全体で表現しつつも思い当たる場所を脳内で検索しているらしい。僕も今割と必死に近くにある人通りの少なそうな場所を思い浮かべているのだが、あれ、この辺りって何があったっけ。進路資料室は二棟だしな。もう朔夜に任せよう。 「……図書館の図書第三準備室の可能性が高いな。行くぞ」  誰も突っ込まないから代わりに突っ込むけど、何故に図書準備室が第三まであるのかと、このふざけたお城を設計した輩に小一時間ほど問い詰めたい。  既に走り始めている朔夜の背中を追って、程無くして僕も走り出した。  走りながらも考える。転入生と言うくらいだから、きっと学園の上層部の関係者なのだろう。新入生を迎え入れてからもうすぐ二週間が経つというのに、何とも微妙な時期の転入。どう考えても王道のかほりしかしません本当にありがとうございました。これでボッサボサの鬘してなかったどうしてくれようかってくらい王道まっしぐらな展開じゃないんですかコレ。去年は王道展開にあまり巡り会えなかったから、新年度早々の王道のかほりに悶えそう。血管大丈夫かな。  
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