2436人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
コトリ。
目の前にそっと置かれたマグカップから湯気が上がっていて、コーヒーの芳醇な香りが辺りに充満した。気が利くじゃない。だがミルクと砂糖を添えて出せるようになって初めて一人前だと知れ。ブラックとか飲めません。
「朔夜も見たでしょう? 社君は恐らく喧嘩に関しては素人ではありません。それにOKですよ、OK」
「あぁ、あのコントロールには驚かされたな。で、そのOKとやらは?」
「王道的に考えての略語です」
「実に下らん。それとあまりミルクと砂糖をダバダバ投入するんじゃない。見ているこっちまで具合が悪くなりそうだ」
「僕にコーヒーをブラックで差し出した朔夜に全面的に責任があると弁明しておきます」
さて、とりあえずは明日が来てみないことにはどうしようもない。明日、社君と黒瀬君と共に登校してみることにしよう。遠慮する様子もなく顔をしかめている朔夜を無視して、さっさと自室においとまさせて頂く。もう眠いんだ。まだ十時だが仕方ない。
お休みなさい、と声を掛ければあぁ、と小さな返事。
寝て起きてから、一体どんな王道が僕を待ち構えているのだろうか。今から期待で胸が一杯である。
……そこでふと気付いた。朔夜の野郎、僕が寝るって分かっていながらあえてコーヒー出しやがったな。どうりでおかしいと思ったのだ。
……寝付けなくなる前に、さっさと寝てしまいましょうかね。
では、現場から腐男子がお送りしました。シーユーレイター。
──腐的王道(?)転入生!
最初のコメントを投稿しよう!