第二章

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   時刻は八時十五分。結局いつもと変わらない時間帯になってしまった。案の定支度に手間取った僕のせいで、早めに登校することは叶わなかったのだ。反省している。  ペコペコしている社君の肩を何度か叩いて、教室に向かって歩みを進める。好奇、あるいは嫌悪や拒絶の目に曝されながらの登校は刺激的である。どこを歩いていてもひそひそ聞こえてくるのだから、全く無関係なのに巻き込まれる形になってしまった朔夜と黒瀬君には非常に申し訳ない。  でも、だ。王道とは概してこういう物なのだということを理解して頂きたい。特に黒瀬君には是非。荊の道には違いないが、臆することなく突き進んで下さい。そして社君と幸せになって下さい。あ、でも社君は総受け予定だからあまり独り占めされると困るかもしれない。 「じゃ、また昼にな!」 「え? あぁ、はい。またお昼に」 「社、黒瀬。くれぐれもサボるんじゃないぞ。サボったなんて報告が入ってきたら黒瀬を丸坊主にしてやるからな」 「あぁ? いちいちうっせーんだよテメェは。やれるモンならやってみろってんだ」  身の毛も弥立つような脅しに全く屈することなく大股で進んで行く黒瀬君を、ボサボサの黒髪が追いかけて行った。仲良いね。よきかなよきかな。  
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