第二章

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   社君、黒瀬君とは別のクラスである。  僕と朔夜はBクラスだが、二人はAクラス。隣のクラスとは言っても、クラスが離れていては授業中等に突発的に発生する王道イベントに対処出来ないのが非常に惜しい。まぁ、逐一報告はして貰うからそれで妥協するしかない。後は脳内補完である。人間の脳って素晴らしい。  軽く現実逃避的思考に耽っていた僕だったが、朔夜が無遠慮に教室の扉を開いた為否応なしに現実に引き戻されることになった。おはよう現実。僕は君が嫌いだ。  さて、予想通り非常に教室の空気が芳しくないわけですよ。  ガラガラーからのシーン。もうね、さっきまでの喧騒が嘘みたい。皆が皆黙りこくってこちらを見ている。怖いなおい。見詰められると照れるぜ。  学園では素のキャラをひた隠しにしている為、そんな軽口を叩くことも叶わないわけで。真面目キャラは何かと便利だが、こういったシチュエーションでは絶対的に融通が利かないから困る。信じられないかもしれないが、僕は学園では口数の少ない真面目キャラで通っているのだ。  特徴のない黒髪黒目。昨日みたいな緊急時以外はあまり口もきかない。「僕だったらそんな奴絶対お近づきになりたくないね」と自分でも思うキャラを意識している。  僕と朔夜が席に着いた辺りから漸く、ひそひそと囁き合う声が凝り固まった空気を控えめに切り裂いた。途端に皆してひそひそやり始めるから、人間って単純だなとか思ってしまうわけで。  
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