第二章

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   お断りします、と僕が申し出る前に、いつの間にか立ち上がっていた黒瀬君が社君と僕の目の前に立ち塞がった。これは期待出来る。黒瀬君は重度の社君馬鹿だから。 「テメェ、絢斗とソイツ一纏めにしてんじゃねぇよ。絢斗が可哀想だろうが。それに絢斗はテメェに話なんかねぇんだよ。ソイツなら構わねぇから好きなだけ話してろ」 「外野は黙っててくれるぅ? 君、この場で一番関係ないじゃあん」  ……期待通り、と言えば期待通りなのだが、どうにも納得出来ないんだなこれが。一番関係ないのは確かに黒瀬君かもしれないが、一番可哀想なのはさらりと黒瀬君に毒を吐かれた僕で間違いないだろう。社君が可哀想ってお前。君にざっくり心抉られた僕の方がン百倍可哀想ですよ。  黒瀬君が首を鳴らしながら、未だに芝生上で胡座をかいている社君としゃがみこんで社君の口を手で塞いでいる僕の前に歩み出ると、その姿に見惚れる雨宮親衛隊長の後ろの方々の中の何人か。  あぁ、もう。面倒くせえな。 「ぷはっ! おい、何すんだよ湊」 「いや、ちょっとややこしいことになりそうだったのでつい」  社君復活。僕が口を塞いでいたわけだけど。字面だけ見るとエロいな……ってデジャヴ! 「ややこしいこと? よく分かんないけど、話があるだけって言ってよな?」 「その話すだけ、がそれだけに留まらない可能性が否めないんですよ」 「湊、人を無闇に疑っちゃ駄目だ。人を信じるのは確かに難しいことだけど、かけがえのないことなんだぞ」  ……もしかして説教されてる?  事態の異常さに気が付くまで少しばかり時間を要した。まさか社君に説教される日が訪れようとは。もう隠居した方がいいのかもしれない。  
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