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「何を考えているのかは知らないがろくなことを考えていないな? さっさと片付けるぞ」
烏の羽根のような漆黒の髪を掻き上げる朔夜からは噎せ返るような色気がむんむんと放出されていて、どこかその辺に襲い受けの子落ちてないかなーとか真剣に探したりした。
「そうですね。襲われている子が朔夜に惚れてくれることに期待するとしましょう」
妥協案である。
じゃーん、とここに取り出したるは、上品な銀色に輝く一枚のカード。一見どこかのクレジットカードにしか見えないそれは、何とこの学園内の鍵ならどこでも解除してしまういわゆるマスターキーである。風紀って凄い。というよりカードでロック解除とかこの学園真剣に頭大丈夫か。
ぴぴーと間の抜けた音がして、続いてがちゃり。
「おい! 誰か来たぞ! どうすんだ!」
「何で分かったんだ!?」
途端に騒ぎ出す犯人と思われる男達。無駄に金ぴかな装飾が施されたドアノブに手をかけると、中から悲鳴にも似た焦りの声が聞こえてきた。
予想通りと言うか、むしろ月一単位で恒例行事となりつつある場面に出会したわけで。どうしてこうも学習能力が無いのか。貴様らは鼠か。
「──風紀委員だ。大人しくしろ。風紀委員の名の下に、貴様らを糾弾する」
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