第二章

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   ……どう考えても八方塞がりです本当にありがとうございました。さよなら愛すべき腐人達よ。僕は一足先に高い所へ逝ってるから。 「なぁ、お前名前なんてーの?」 「君に教えるのは癪だけど、仕方ないから教えてあげる。僕は雨宮黎司。初めまして、社絢斗君」 「黎司、これからよろしくなっ!」  ぱしっ(雨宮親衛隊長が差し出された社君の手を弾いた音)。 「勘違いしないでくれるかなぁ? 僕は君と仲良しごっこをする為にここに来たんじゃない!」  ずるっ(雨宮親衛隊長の化けの皮が剥がれる音)。 「今日はね、君と一条湊に警告をしに来たんだ」 「警告? 警告って何の警告だよ」 「惚けないで。社絢斗、君は昨日神薙木会長に怪我を負わせたね? 君は許されないことをしたんだ。自覚しなよ」 「あれはアイツが湊や悠歩を悪く言ったから──」 「黙れ! 南副会長まで呼び捨てだなんて……。本当は今日、君を制裁するつもりだったんだ。でも君はここに来て間もないから、優しい僕達は君に猶予をあげようと……ってねぇ、一条湊! 僕の話聞いてるの!?」 「え? あ、はい、聞いてますよ」  全く聞いてなかった。ごめん。  化けの皮、あるいは被っていた猫がごっそり剥げ落ちて凄い形相になっている雨宮親衛隊長。まさかあっさり拒絶されると思っていなかったのか、弾かれた手をきょとんと眺めている社君は、自分が何を言われているのか理解していない様子だった。  
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