第二章

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   まともに描写を挟むのも億劫だった僕は二人の会話を聞き流していたわけだが、鬼気迫る顔付きの雨宮親衛隊長に現実に引き戻された。あらやだこわい。どうやら怒りの矛先が社君から僕に向いちゃったらしい。 「いつもいつも済ました顔して本当にムカつく……。分かってると思うけど、君も制裁対象だから。君は僕達のことも知ってるみたいだし、覚悟も決まってるんじゃない? 君をどうしても制裁したいって子、こんなに連れて来たんだけど……今日は警告だけにしといてあげるよ。僕は優しいからね」  本当に今更だけど、僕は雨宮親衛隊長の後ろの親衛隊のメンバーの方々にめちゃくちゃ睨まれている。怖いなおい。会長親衛隊なのに図体のデカい人しかいないってどういうことなの。会長はタチ一択でしょうに、どうしてこんなタチっぽい人達ばかり──あぁ、僕と社君を懲らしめる為に腕力が強そうな人を厳選して来たのか。いやはや納得。  あれ、でもそうなると、さっき貴重な黒瀬君の見せ場で頬を紅潮させていたのはむさ苦しい男ばかりだったということに……。そうか、腐男子フィルター通してるから受け顔の可愛い男の子達しか見えなかったわけか。便利だな腐男子フィルター。 「社絢斗、一条湊。金輪際会長に近付くな。今度会長を傷付けるようなことがあったら、残念だけど君達の身の安全は保証出来ないから」  何という王道。僕が当事者でなかったら悶えてたんだがなぁ。  腕を組み、でーん、みたいな効果音があればお誂え向きな感じのポーズで仁王立ちしている雨宮親衛隊長の目の前、つまり僕の左で今まで沈黙を貫いていた社君だったが、何を思ったのか一歩前へ歩み出て雨宮親衛隊長をじっと見据えた。  え、あなた何考えてんの。  
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